七月五日 雷雨の話 三

 自分からわざわざ腰を動かして性感帯を刺激し、絶頂に登り詰めようという仕草は非常に淫らだ。その様子が面白くて、手を止めてしばらく好きにさせる。しばらくしてそれに気がついたのか、否か、もう早く挿れろ、と懇願された。

 あっという間に本数を増やした指を抜き、ティッシュで拭う。そして、サイドボードからスキンの箱を取り出した。新品の箱を開け、連なった正方形を一つ切り取る。寝巻きにしているジャージを、下着ごと太腿まで下げて性器を出したら、中身を傷つけないように正方形の袋を開け、スキンの先端を摘みくるくると装着する。

 潤滑剤を塗りたくった陰茎を彼の尻に充てがう。彼の左膝の裏に右腕を通し、腰を摑んだ。挿入を始めると息を呑む声が聞こえたので一度止め、彼の頬を撫でる。それから、彼が呼吸をしているのを確認すると、再度腰を進めた。

 初めは浅く、抜き差しをして拓いていく。いくらか入ったところで、しこりに当たった。ここを強めに突いてやれば、なかの肉壁は収縮し、嬌声が上がった。不意に与えられた強い快感をうまく逃すことはできなかったみたいだ。開きっぱなしになった口からは、かすれた喘ぎ声が突くたびに流れている。

 逃れるようと体を捉えるように、両足を担いだまま肩を抑えた。次第に彼が漏らす声は高くなっていき、肉は痙攣している。絶頂が近いのだろう。絶頂が強いのだろう。

 動きを速めれば、中は期待するようにうねり、絡みついてくる。しがみ付かれた肩口に痛みが走った。おそらく彼の爪が食い込んだのだろう。

 俺の輪郭を通った汗が一滴、彼の頬に落ちた。思わずそれに吸い付いた。唇を離す際、蕩けた目と視線が重なる。その瞬間、彼は喉元を晒して体を仰け反らせ、喰いちぎる気かというほど俺を締め付けながら吐精した。

 俺も持っていかれそうだったがすんでのところで堪える。彼が絶頂の余韻に浸る中、前立腺をさらに抉った。俺の動きに合わせて跳ねる彼の陰茎が、まだ中に残っていたらしい少量の精液を飛ばしている。

 頂から降りきる前にまた引き上げられた快楽は、彼を飛ばすには十分だったようだ。射精をせずに達した内臓は収縮し俺に絡みつく。まるでそこだけ彼とは別の生き物であるかのように、器用に精を求める動き。俺は今度こそ堪えられなかった。薄い被膜越し、最奥に吐き出した。

 スキンが外れないように抑えて、俺は彼から性器を抜いた。意識を飛ばした彼はそのまま眠ってしまったようだ。俺は彼の体を軽く拭き、服を着せると、隣で眠りについた。

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